「里山おーぷんらぼ」(第15回)(以下、らぼ)を7月13日、10時~15時に実施しました。まず概要を報告して、その後で詳しい経過を説明します。今回の「里山おーぷんらぼ」の概要今回は「炭焼き」をおこなうため、13日の「らぼ」の前後と翌日の14日にも、炭焼き班と希望するメンバーが集まって作業にあたりました。また、18日には炭窯を開くために一部メンバーが集まりました。13日に、炭の材料を窯に入れ、土で隙間を埋めました。その後、火を焚いて、13日・14日と調整しながら炭焼きしました。窯が十分冷めるまで待つことになりました。18日(木)、ついに窯を開けました。炭はできたのでしょうか?少量の炭ができていました。ただ、残念ながら、多くの材は、生焼けの状態で残っていました。その原因や対策については、今後検討していきます。3日に渡る活動には多くの方が参加されました。 13日は、未就学の方、小学生・中学生、洛西LINKSの高校生、大学生・大学院生、社会人など35名が参加しました。14日は、大学生・大学院生、大学教員の7名が参加しました。 また、18日は、大学生・大学院生の3名が参加しました。京都大学フィールド科学教育研究センターから、舘野センター長(13日のみ)、田中特定研究員、紺野技術班長、他の技術職員3名、企画情報室の中村技術職員(13日のみ)、担当の松本事務員(14日のみ)が参加しました。作った炭は「里山おーぷんらぼ」の際などに、ぜひご覧ください。炭焼きの過程ここから、炭焼きをおこなった13日~14日と18日のプロセスをやや詳しく紹介します。7月13日(土)の活動9:00~10:00 早く集合した参加者が炭窯前で準備を進めました。炭とする材の含水率(写真左)を測っています。三脚支柱にはかりを吊るして、材の重さを測っています(写真中)。はかりの表示(写真右)は14.25kgです。何度か分けて図りました。続いて、炭窯の内側と煙突出口の温度を測定するため、温度計を設置しています。煙突出口へ設置し(写真左)、窯の中へセンサー部分を差し込んでいます(写真中)。写真右は、温度計本体です。まだ、炭焼きを始める前のため、その場の気温24℃が表示されています。炭にする直径数㎝~10㎝程度の木材と隙間を充填するための柴を窯へ入れていきます。横にしたドラム缶の上側が開かれており、そこから詰めています。技術職員の方により、上賀茂試験地の支障木から、炭用に適した材をドラム缶に入れやすい長さに切り揃えていただいています。炭窯に蓋をした後、近くで採取した土に水を混ぜて、こねた粘土によりすき間を塞いでいます。火を付ける前に、今回の実験で試みる焼き方の方針を大学院生の足立さんから、紺野さんからドラム缶炭窯、材料の解説をいただきました。10:55いよいよたき口で火を付けます。杉の葉、木切れ、紙などを使って着火。温度をモニターしながら、薪の投入量、送風の強さを判断して、火力を調整しています。皆さんで交代しながら、火の管理をおこないました。12:00~13:30(昼食)火の管理は交代でおこないながら、昼食をとりました。畑でキュウリ、シソ、ピーマン、ナス、オクラを収穫して、そうめんとともにいただきました。コンロの炭火では、イワシ・イカを焼いたり、スイカの差し入れもいただきました。14:00~15:00 (ディスカッション)ディスカッションは、森里海と文化研究会・倉内さんが進行し、炭の基礎知識など学んだあと、炭をうまく焼くコツ・工夫について意見交換しました。15:30~17:002号機の炭窯(左写真の右側)では、たき口(薪をくべる場所)をふさぎました。1号機の炭窯(同じ写真の左側)は、その時点では、まだ火を維持しています。しかし、1号機も16時45分にはたき口に蓋をしました。翌日まで、この状態で置きます。7月14日(日)の活動9:00 炭窯での活動再開です。1号機は、火を起こして、加熱を再開して、温度の記録と火の焚き方を記録します。2号機の火はおこさず、温度計測を継続しました。9:19 この時点の温度計(右写真)です。左は1号機(今朝、加熱を再開した窯)、右は2号機(昨日、火を落とした窯)の温度を測定しています。表示の上側は「窯内部」、下側は「煙突部」の温度です。温度、火の管理を記録していきます。9:40に、1号機の窯内は87.1℃になりました。炭焼きでは、煙の「臭い」や「色」を手掛かりに火の強さや空気の入り方の調整をします。白い煙、褐色がかった刺激臭のある煙、青みがかった煙などですが、識別するためには、経験が必要なようです。薪をくべて加熱しています。11:48 1号機の窯内は206℃です。12:10 焚口を狭くして空気の入り方を少なくします。昨日と同様に、上賀茂試験地の土をふるいにかけて、こねておきます。最後に、窯の焚口を塞ぎました。14:29時点の温度計です。7月18日(木)の活動13:00~15:00 炭窯を開け、炭を取り出しました。3日間、置いていたので、窯内の温度は気温と同等まで冷え、火が付く恐れはなくなっています。まず、2号機から窯を開けました。燃えて灰にはなっていないようです。続いて、1号機の窯も開いて、炭を取り出しました。2つの窯ともに、一部炭となっているが、全体には炭化の進んでいない、生焼けの材が多く見られました。生焼けの材は大きな炭窯の薪として使用予定です。窯にできた炭の状態前述のとおり、炭が少量できました(右の写真)。左の写真のように、生焼けの材が炭になった材に比べてかなり多いことから、材料の乾燥、加熱・蒸し焼きの時間などがもっと必要であったと予想されています。これからも炭焼きの探究は続きます。【参考】炭焼きまでの準備(2023年6月 滋賀県でドラム缶炭焼きについて教わる)昨年、2023年6月27日、滋賀県高島市にある近江薪炭を訪れて、堀代表から、ドラム缶炭焼きの設置方法や焼き方等について教えていただきました。上賀茂試験地にも写真のようなドラム缶が設置されています。(2024年7月 事前の準備) 炭焼きの計画は、大学院生が中心に、大学生が参加し、適宜、技術職員の助言を受けながら検討しました。 7月4日 昨年度3回実施した炭焼きのデータを参照しつつ、2つの窯での焼き方について打ち合わせしました。温度上昇の早さを変える方法で進めることになりました。 7月9日 おーぷんらぼでのディスカッションのテーマを、大学院生・大学生と検討しました。炭焼きの工夫を軸にして、材料の樹木や文化などについて話すことになりました。。