春が来た、と思っていたのも束の間。5月にも関わらず京都は各地で真夏日を記録するほどの陽気が続きました。舞鶴水産実験所では伊佐津川水系での春の調査を実施しました。5月と言えば田植えの季節。代掻き(しろかき)に伴う水田からの水が河川へと流れ込む影響で、この時期の河川はやや濁りがちです。こちらはカワヨシノボリの幼魚、でしょうか。底性魚のカワヨシノボリは、遊泳性のカワムツと並び、この河川ではトップクラスの生息密度を誇ります。水が白濁していますが、奥に見えるのはアユの群れです。4月前後に海から遡上してきた稚魚が、中下流域で順調に成長しているようです。春の到来を感じさせてくれました。そしてこちらはカジカの仲間。恐らくカジカ中卵型ではないかと思われます(要確認)。カジカの仲間には、アユのように生活史の初期を海で過ごす「回遊型」と、一生を淡水で過ごす「陸封型」がいます。この個体がいたのは最も上流の調査地点。遡上能力が高くないカジカ類にとって海から上ってくるには数多くの障壁があるため、陸封型である可能性が高いです。ただし伊佐津川水系には、カマキリ(アユカケ)という回遊性のカジカの仲間がいることも事実です。彼らは隠れる能力が高いため目視できることはそう多くないのですが、環境DNAを分析すればどこにいるかが推定できます。最近は、回遊性の魚種が河川のどこまで安定的に遡上しているかに注目して、データをまとめています。写真撮影:益田玲爾 教授時は少し進み、5月下旬。今年も舞鶴市立池内小学校の児童の皆さんと、「池内川に魚たちの通り道を作る会」(池内・魚道の会)を実施しました。この会の実施のきっかけ、昨年の様子などはこちら(https://collabo.fserc.kyoto-u.ac.jp/news/62qeM1W_)池内川というのは伊佐津川本流とほとんど同規模の支流で、自然豊かで数多くの生物がいることがこれまでの調査でわかっています。まずは皆さんで網を携えて、学校の目の前の池内川で生きもの探しをしました。手のひらサイズのドンコなど、魚もたくさん獲れましたが、大きなテナガエビ(下写真)などにも皆さん大喜びでした。そしてこの会の目標でもある「魚たちの通り道の改善」のために、落差工のある場所へと移動しました。自分たちの身長より高いところに、アユなどの魚たちは上っていく必要があること、そしてそのための魚道と呼ばれる設備が、魚たちに取って利用しづらい状況になっていることを知ってもらいました。その魚道へとつながる通り道を改善するため、砂の浅いところを掘ったり、協力して茂みを抜いたり、一生懸命作業をしました。そして児童の皆さんの働きのおかげで、魚道の出口から流心へと向かう流れ(下画像:青矢印)が復活しました。上流を目指す魚は、流れに向かって泳ぎます。今回復活した流れを感知して、魚道をうまく利用できる魚が増えることを願い、今後もモニタリングを実施する予定です。河川での活動は、京都府中丹東土木事務所の許可を得て実施しました。活動へのご理解に感謝申し上げます。そして今年も充実した学びの時間を設けてくださった池内小学校の皆様、ありがとうございました。写真撮影:田中拓弥 特任講師