梅雨が明け好天が続く舞鶴にて、伊佐津川での夏季環境DNA調査を実施しました。夏休み中ということもあり、自然度の高い川の中上流部には親子連れや保育園児たちの姿もありました。地域に根付いた河川であることが伺えます。そんな川の中では昨年同様、さまざまな魚を確認することができましたが、今回初めて目視された魚がいました。川岸に潜んでいた、ナマズです。(撮影:益田玲爾)これまでもナマズの環境DNAはごく低濃度ながら各季節で検出されており、今回その姿を捕らえたことで環境DNA調査との両面で存在を裏付けることができました。個体数があまり多くないのかもしれません。そのほかにもヨシノボリやドジョウのなかまなど代表的な顔ぶれを度々見かけましたが、生息密度の点ではやはりアユが顕著に目立ち、各地で縄張り争いを繰り広げていました。しかし、そんなアユの生息状況にも昨年までとは異なる点が見られました。昨年の夏には大型個体が多数見られた中上流域の調査地点で、今年はアユの姿を確認できなかったのです。次第に急勾配となる山間地域の河川には、水の流れを調節するための落差工が多数存在し、その多くには魚の行き来を可能にするための魚道も設置されています。ただし本来行き来が可能な構造であっても、水量等の条件によってはアユなどの回遊魚の遡上が制限されることがあります。環境DNAの分析結果も確認しつつ、今後は回遊魚の河川内分布と落差工の関係、そして回遊魚の時空間的な在不在が群集にもたらす影響について精査を続けていきます。