上賀茂試験地での里山体験プログラムづくりの続きです。 8月3日(木)、洛西高等学校の8名の高校生とお一人の先生とともに、上賀茂にある植物での草木染を試みました。10月におこなうこども向けの里山体験メニューをつくる活動です。上賀茂試験地で得られるさまざまな植物種や媒染液の違いにより、染まる色が違ってくることを比較する実験によって、明らかにしました。それから、たくさん採集できるシダやコナラの葉を材料に、ロケットストーブと鍋を用いて染める手順を試しました。上賀茂の草木による染色の実験実験は、横部特定助教が作成・指導し、試験管・ヒーター・はかり・漏斗等の装備を準備、上賀茂試験地に搬入・設置しておこないました。使った植物と組み合わせた媒染液は下の表のとおりです。事前に採集した種類に加えて、事務所棟や池の周辺を歩いて別の植物(*)も追加しました。(準備)横部助教から草木染実験についての説明をおこないました。ラベルを作って実験で使う試験管に貼る作業、布の重さを測って水に浸す作業などの準備をおこないました。(染液作成)草木をハサミなどで細かくきざんで試験管に詰め、水を加えて105℃のヒーターで加熱しました。ヒーターにより40本の試験管を同時に加熱し、水に色が出たところで、植物を除き、ろ過して、染液を作りました。(布を染め、水洗いしてから乾燥へ)いよいよ、用意できた染液に布をつけて染めます。その後、媒染液に布を入れて、時間が経過したところで再度染液につけます。最後は、布を水で洗いました。上賀茂試験地のさまざまな植物による草木染の結果は次の写真のとおりです。まだ乾燥が十分ではないのですが、ビニール袋ごしでも色の違いがわかります。上の列から、媒染液の成分は、Al(硫酸カリウムアンモニウム) 、Fe(硫酸鉄(Ⅱ)七水和物)、 Cu(酢酸銅(Ⅱ)一水和物)になります。アルミは薄く、鉄は黒っぽく、銅は赤が混じる感じでしょうか。その後、高校生たちが議論した結果、タケとAl(硫酸カリウムアンモニウム) 、カエデとCu(酢酸銅(Ⅱ)一水和物)の組み合わせで、10月のプログラムは進めたいと聞いています。草木染の手順を使ってみるもうひとつ、実験と並行して、ロケットストーブや鍋を使った草木染の手順も一通り体験しました。当日のプログラムを想定しながら進めましたが、たとえば、シダの方は、こんな感じで鍋に入れて、ゆっくり加熱していきます。下の写真では水洗いした布を染液につけています。この後、媒染液につけて、再度、染液に付けると、薄黄色に染められました。あいだのラボ/工藝の森の小森さんにもアドバイスをいただきました。すぐ上の写真にあるように、シダ(左)は少し緑色、コナラ(右)は薄い赤色が入って染まりました。濃く染めるために、植物の量、染める時間、媒染液の付ける時間など、いろいろと工夫の余地がありそうです。また、布をしばるなどして、模様を付けることも試すことができればと思います。 当初より種類が増えて実験時間が延びたり、説明・議論を丁寧におこなったことから、想定より時間を要し、終了は予定よりかなり遅くなってしまったのですが、生徒の皆さんは助け合いながら集中して最後まで取り組んでいました。