里山保全活動団体が多様な主体との協働に参加する意欲と、それに関連する要因を検討した論文が2026年8月15日に「計画行政」学会誌(第49巻第3号pp52-57)に公開されました。 里山は、人が農林業や日々の暮らしを通じて手を入れることで維持されてきました。しかし、人口減少や高齢化が進み、地域の住民や保全団体だけで活動を続けることが難しくなっています。そのため、企業、学校、大学、行政など、多様な主体が協力して里山を支えることが求められています。 本研究では、近畿地方で里山保全に取り組む72団体を対象にアンケート調査を行いました。里山や里海に関わる団体、企業、大学などが情報交換や交流を行う「コンソーシアム」を想定し、そのような枠組みに参加したいか、また参加意欲にはどのような要因が関係しているかを調べました。 約6割の団体が参加に前向き 調査の結果、約6割の団体がコンソーシアムへの参加に前向きでした。一方で、団体の設立年、スタッフ数、スタッフの平均年齢、財政状況などと参加意欲との間には、明確な関連は確認されませんでした。 つまり、規模が大きい団体や財政的に余裕のある団体だけが、新しい協働に積極的とは限らないことが分かりました。 「人」と「やってみたいこと」が重要 参加意欲と関連していたのは、団体内で中心となる人の数でした。中心となる人が1人の団体では参加に消極的な割合が高く、2人以上いる団体では参加に前向きな割合が高くなっていました。 また、「団体を長く続けたい」「会員や財源が増えたら新しい活動をしたい」と考えている団体ほど、参加意欲が高い傾向がみられました。学校の実習受入れ、企業のボランティア活動、フォーラムへの出展、大学との共同調査など、具体的な協働活動を行いたいという意向も参加意欲と関連していました。 団体の希望を形にできる仕組みへ 里山保全の協働を広げるには、単に多くの団体を集めるだけでは十分ではありません。それぞれの団体が今後何をしたいのかを把握し、その希望を実現できる人や組織と結びつけることが重要です。 あわせて、特定の人に負担が集中しない体制づくりや、外部との連絡や調整を支援する仕組みも必要です。団体の「やってみたい」という思いと、それを支える人のつながりを育てることが、持続可能な里山保全につながると考えられます。 論文原稿以外の補足情報として、過去の「企業」「学校」「フォーラム・交流会」「大学・研究機関」との連携経験と、今後のコンソーシアムへの参加意欲との関係を4つの図に示しました。全体として、連携経験のある団体ほど参加に前向きな傾向がみられ、特にフォーラム・交流会への出展経験との間に明確な関連が確認されました。〈企業との連携経験〉〈学校との連携経験〉〈フォーラム・交流会への出展〉〈大学・研究機関との連携経験〉