里山保全活動団体の持続可能性について、運営主体者の満足度の視点から検討した論文が2025年に公開されました。 里山は、日本の自然や文化を支えてきた大切な場所です。しかし近年は、人口減少や高齢化により、里山を維持することが難しくなっています。そのため、市民団体による保全活動への期待が高まっています。 そこで私たちは、近畿地方で里山保全活動を行う72団体を対象にアンケート調査を実施し、団体を運営する方々の「活動への満足度」と「今後も団体を続けたいという意識」の関係を調べました。 その結果、多くの団体で運営者やスタッフの高齢化が進んでいることが分かりました。図1 団体設立年と団体運営主体者年齢層図2 団体スタッフ年齢層一方で、約7割の運営者が現在の団体運営に満足しており、約9割が「今後も活動を続けたい」と考えていました。また、活動への満足度が高いほど、団体を継続したいという意識も高いことが明らかになりました。図3 団体運営主体者の総合満足度図4 今後も団体を持続させたい意識さらに詳しく分析すると、「広報活動」、「専門家からの支援」、「会員数やスタッフ数」などが、団体運営において特に改善が求められる課題であることが分かりました。これらの課題が改善されれば、団体の満足度や継続性をさらに高められる可能性があります。図5 団体運営満足度のCSポートフォリオ分析本研究は、里山保全活動を長く続けていくためには、団体の努力だけではなく、研究者や行政、企業、地域住民など多様な主体が連携し、専門的な支援や人材確保を進めることが重要であることを示しています。 里山を未来へ引き継ぐためには、「自然を守ること」と同時に、「活動する人を支えること」が欠かせません。本研究が、持続可能な里山保全の仕組みづくりにつながることを期待しています。包薩日娜,田中拓弥,舘野隆之輔,徳地直子(2024)里山保全活動の団体運営主体者の活動満足度からみた団体継続運営意識,環境情報科学論文集 Vol. 38 (2024 年度 環境情報科学研究発表大会).https://www.jstage.jst.go.jp/article/ceispapers/ceis38/0/ceis38_191/_pdf/-char/ja